株式会社東京アセットワークス

区分所有マンションの評価におけるポイント~実務修習編~

2026.08.23

不動産経済研究所が発表した7月の東京23区の新築マンション平均価格は、前年同月比96.0%上昇の2億6520万円となり、単月として過去最高を更新した。港区などの高額な大規模物件の発売が価格を大きく押し上げた形であるが、東京のマンション市場に関して私の認識は全く別のベクトルを向いている。特に中古マンションでは、2026年春以降に潮目の変化が出てきている。東京都全体の7月の中古マンション価格はまだ前年を上回っているのに、取引件数はかなり落ちている状態である。4月以降、首都圏中古マンションの成約件数は前年割れに転じている。特に、都心3区では在庫が前年同月比約50%まで増えている。売主は高値を期待している一方で、 買主は慎重になり、結果として売却期間長期化・在庫増という局面に少しずつ移っていると考えられる。都心3区で在庫が膨れ上がっている大きな要因としては中国マネーの撤退が挙げられる。とはいえデベロッパーは在庫を抱え続ける訳にはいかないので、安値で業者に売りさばいている状況にあるが、エンド向けに価格を下げているわけではないので、高値継続というような捉え方をされているが実態は大きく異なるのである。つまり現在分譲マンション市場は価格上昇、成約件数減少、在庫の増加という不自然な状態に陥っており、この点、実務修習上は市場分析の観点や時点修正の査定において十分に考慮すべきであり、分譲マンション市場はインフレに連動して上昇が継続しており、ゆえに時点修正もプラスと単純に判断するのは評価をミスリードする可能性が高い。

一方、成約件数や在庫状況から東京23区の中古マンション市場をとらえると、都心3区・城西は要注意、城南・城北はやや弱い、城東は比較的堅調という特徴にある。これまで、価格の高いエリアが価格の上昇をけん引してきたが、市場の温度感が逆の現象にあるのは非常に興味深いところである。これまでマンション市場の価格上昇を扇動してきたのが投機マネーであることは周知のところであるが、その投機マネーが市場から撤退しつつある今、残されたのは実需層では手の届かないところまで吊り上がった価格と膨大な在庫であり、実需層でも何とか手のとどく城東エリアに庶民が目を向けているというのが、城東エリアがかろうじて健闘している理由であると分析している。

最後に、世の中が総じて上を向いて妄信しているときにはあまり論点にはなりにくいのであるが、昨今のように市場がターニングポイントを迎えているような状況下では、エリアによって温度感がかなり異なってくるので、いつも以上に市場分析が重要になってくることは言うまでもない。幸い、マンションに関する統計データはネット上に豊富にあるし、昨今ではチャッピー君に

聞けばそれなりの分析をしてくれるのと、やはり最終的には地場の仲介業者さんから生の声を聴くのが実務をする上でも非常に重要になってくるということは肝に銘じてほしい。

以上