株式会社東京アセットワークス

住宅地における建物想定~実務修習編~

2026.01.26

更地の評価の場合、収益性や投資採算性の認められる土地の場合には、取引事例比較法に加えて、収益還元法(土地残余法)や開発法を適用する必要がある。その場合には、土地の最有効使用と認められる用途の建物を想定することとなるが、低層一般住宅やアパートといった比較的シンプルな建物を除いて、不動産鑑定士自らが建物を想定することは実務上少ないと思われ、主に専門家である建築士の協力を仰ぐことが一般的と言える。

実務修習においては、実務修習機関によって対応は様々と言える。例えば、大手、準大手のように評価実績が多い機関では既にある想定建物図面を利用できるケースが多い。一方、大学でCADを用いて建物の想定行っているケースもあるが、実際はCADを用いずに実務修習生自ら手書きで想定を行っているケースも多く、この場合には情報や知識が限られる中、試行錯誤して苦労している実務修習生も多いと想定される。

1.題材選び

商業地の評価の場合には評価対象地上に商業ビルが建ってるケースも許容されるため当該建物を参考にして(というか当該建物を想定建物のベースとして)評価を行うことが可能である。しかしながら、大規模画地の評価に当たってはこれが許容されないので、1から建物を想定することとなる(ただし、周辺に分譲マンションが建ち並んでいる場合にはこれらを参考にすることも有用である)。オフィスビルに比べて共同住宅は特殊建築物に該当するので、規制内容が厳しい点に留意が必要である。

①日影規制の論点を避ける

②条例による接道要件に留意する

③路地状敷地の制限

 ※実務修習の題材選びについて、まず考えたいのが①日影規制である。日影規制のチェックはCADを用いて行うものであるが、不動産鑑定士でこれができる人はかなり限定的と言え、当然実務修習生では手に負えない部分であることから、日影規制のかからない商業地域で題材選定を行うことが論点を減らすうえでは有用と言える。ただし、対象地が商業地域であっても想定建物が日影規制エリアに影を落とす場合には、日影規制が適用されるので注意が必要である、②幅4m以上の道路に2m以上接していなければならないというのが建築基準法での接道要件であるが、自治体によってはさらに厳しい要件を課しているところもあるので、それらの基準をクリアするように題材を選ぶことが必要である。以下、東京都の安全条例による接道条件を記載する。③路地状敷地(通称、旗竿地)においては、接道が2m以上あっても共同住宅が建てられないといったケースがあるので注意が必要である。以下、東京都の安全条例による路地状敷地の制限を記載する。

【安全条例による接道要件】

~都条例10条3~

共同住宅等の敷地は、その用途に供する部分の床面積に応じて、以下以上の道路に接しなければならない。

500㎡以下                                                             4m

500㎡を超え、1,000㎡以下のもの                 6m

1,000㎡を超え、2,000㎡以下のもの             8m

2,000㎡を超えるもの                                      10m

~都条例4条~

延面積が3,000㎡を超え、かつ、建築物の高さが15mを超えるものについては、幅員6m以上の道路に、10m以上接し

なければならない

【安全条例による路地状敷地の制限】

~都条例10条~

特殊建築物は路地状のみによっては道路に接する敷地に建築してはならない。

 

2.面積の定義

想定建物のベースが決まったら、建物の延べ面積から各階の面積、さらには賃貸面積へと全体の面積を細かくブレークダウンする必要がある。 オフィスビルとは定義が異なるので注意が必要である。

①専有面積

②容積対象面積(専有面積、1階管理諸室、各階PSの合計)

③法延対象面積(容積対象面積、1階エントランス、各階エレベータ・エレベータホール・内階段・内廊下、駐車場のうち5分の1相当の合計)←建築概要書記載の建物延べ面積

④施工面積(法延対象面積、各階外階段・外階段・バルコニーの合計)

商業地の想定建物が既存建物の面積を参考にすることができるのに対して、大規模画地の場合はそれができないので、対象地の面積や基準容積率を考慮して面積計算をする必要がある。まず、敷地面積×容積率=容積対象面積を求めてから、専有面積、法延対象面積、施工床面積を求めるわけであるが、ざっくりの数値ではあるものの、施工床面積100とした場合、専有面積70、容積対象面積75、法延対象面積85という関係があるので、例えば専有面積=容積対象面積×70÷75といった具合に各面積が査定できる。各階の面積の査定においては文章では伝えづらいので、動画にて説明することとするが、建築知識が乏しい実務修習生でも簡単に理解できるものになっているので、ぜひ動画の方を見ていただきたいところではある。

 

3.ボリュームチェック

対象敷地にどのくらいの建物が建てられそうか、ある程度の目星がついたらボリュームチェックを行って建物が各種規制の範囲に収まっていくかを確認することとなる。実務修習において、最低限知っておきたい規制の内容は以下の通りである。

①隣地斜線

②道路斜線

③北側斜線(住居系のみ)

④高度地区

⑤日影規制(商業地域は適用除外)

上記①~⑤のうち、③と⑤は題材選びによって手間を省けるところであるので、なるべく規制のかからないような題材選びをすることがコツである。ボリュームチェックについても動画で分かりやすく説明しているので、ぜひそちらをご覧いただきたい。

 

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