株式会社東京アセットワークス

実地演習第2段階の評価におけるポイント~実務修習編~

2026.05.13

1年コースの修習生は4月末で4件の更地評価を終えて、5月からはいよいよ建物及びその敷地の評価に突入する段階かと思う。これまで土地のみを扱ってきたわけではあるが、これからは建物についても同時に考えていかなければならないので、より作業の複雑さが増していくことになるが、心配するなかれ、ベテラン鑑定士が口を揃えて言うのが、全類型の中で「更地の評価が一番難しい」ということである。皆さん既に更地を4件もこなして来たのであるから、自信をもって第2段階に挑んでもらいたいわけではあるが、細かいルールや更地との違いなど留意点があるので、今回のブログではそのあたりを取り扱うこととする。

1.建物の登記

建物も土地と同様、自分の権利を守るために登記する。ただし、土地とは異なり建物の登記に関しては厳密な基準がある。覚えるべき3つの要件は、①定着性(土地に固定していること)②外気分断性(屋根や壁があること)③用途性(住宅、店舗、事務所、倉庫など)である。地面に置かれただけの物置は定着性がないので登記できない。駐輪場は外気分断性がないので登記できない。単なる通路、人が入れないほど狭い建物は用途性がないので登記できない。

また、建物の登記に関して重要なことは、面積が内法面積であることである。建築基準法上の面積が壁芯面積であることにより、一般的には建築基準法上の面積 > 登記面積となることは重要論点の一つである。

2.確認資料

更地評価の場合の確認資料に加えて、建物の確認資料としては、建物謄本(全部事項証明書)、建物図面(法務局備付)、設計図書、固定資産税・都市計画税課税明細、確認申請書、確認済証、検査済証が主なものとなる。ただし、確認申請書、確認済証、検査済証は物件の所有者しか持っていないので、ない場合にはそれに代わる資料として、建築計画概要書、台帳記載事項証明書を役所で取得する必要がある。固定資産税・都市計画税課税明細も原則的には所有者しか取得できないが、ない場合には代用品がないので、税額は想定するしかない。実務的には課税明細には謄本から把握できない未登記が記載されているので、必ず確認すべき重要な資料である。

3.建築計画概要書

建築計画概要書とは、建物を新築・増築する際に建築主事が確認申請書と一緒に提出する書類で、建物の概要(建築主、場所、用途、構造、規模、配置図など)をまとめたものである。誰でも自治体の窓口で閲覧・取得が可能である。注意点としては2019年以前は防火地域内のみ耐火建築物の建蔽率の割り増しが受けられたが、法改正以降は準防火地域内でも耐火建築物、準耐火建築物等の建蔽率の割り増しが受けられるようになったので、基準建蔽率が建築計画概要書記載のものと異なる場合がある。また、検査完了日等の記載は自治体によって対応が異なるので、検査完了日の記載ないからといって違法建築と早合点せずに台帳記載事項証明書などによって確認する必要がある。

4.相場について

更地評価において、同一需給圏の分析の箇所で把握すべき相場は土地単価のみであったが、戸建住宅の評価の際は、土地建物一体の相場も必ず記載すべきである。修了考査で聞かれる可能が高い。ただし、業務用ビル、居住用賃貸、オフィス用賃貸に関しては一棟全体の相場というものは存在しないので、記載する必要はない。

5.その他

戸建住宅や区分所有建物の場合、所有者が夫婦で共有になっている場合が多いので、評価の条件にその事実を記載するとともに、共有を解消した状態を前提とした評価とするべきと考える。(共有持分の評価をしてもいいが市場性減価の把握などとても難しいので、できれ避けたいところである。) 納税通知書(課税明細)は、4月~6月頃に納税義務者に届くものであるので、各自治体の時期を把握する必要がある。特に実務修習の場合には、納税通知書を依頼者からもったものとして行うケースもあると思われるので、価格時点との関係で何年度の納税通知書を確定資料すべきか注意を要する。同じく地価公示の公表が3月の中旬なので、第2段階では最新の資料が地価調査ではなく地価公示になっているかど