現地調査は図面だけでは分からない物理的状況(境界、越境、ライフライン、周辺環境、騒音、占有者の有無、建物の劣化・管理状況など)を詳細に確認することである。
1.資料と現況の整合性確認
謄本、公図、住宅地図、建物図面、測量図、設計図書などの記載内容と、実際の土地・建物の状況が一致しているかを確認する。
2.価格形成要因の把握
立地条件、周辺環境、接道状況、日照・眺望、騒音・臭気など、価格に影響を与える要因を現地で把握します。
3.法的・物理的リスクの確認
越境、増改築の有無、未登記建物、境界不明確など、評価上のリスクを洗い出します。
※実務修習においては資料が限られるため、事前の机上による確定作業が重要です。(確定作業に必要な資料については、ブログ「不動産鑑定における「確定」作業とは~実務修習編~」で紹介しています。現地では写真を沢山とって、後日の振り返りに備えましょう。
※立地・周辺環境の良否の判断はベテラン鑑定士でも判断が分かれるところです。まずは、エンドユーザーの立場に立って、例えば住宅の評価をするなら、自分がその場所に住むと想定して、必要な施設や環境がそろっているかの視点で良否を判断することが重要です。
※間口、奥行、道路幅員はウォーキングメジャーなどの専用器具を用いて測定します。建築基準法「接道義務」は、原則として敷地が幅員4m以上の道路に2m以上接する必要があるが、大規模建築物や特殊建築物では、東京都建築安全条例により、4m以上の接道(場合によっては6m以上)が求められるなど、詳細は管轄する特定行政庁への確認が必須です。
※越境している建物や構造物があると、その部分は「建物の敷地として利用できない土地」とみなされ、容積率計算の基になる敷地面積から除外されるため、建てる家の延床面積が減り、法令違反になるリスクがあります。法定外公共物が敷地内に介在している場合等は、占有使用料の支払義務が発生している可能性があるため管轄する市区町村への確認が必要です。
※実務修習においては資料が限られるため、外装、内装、設備等の仕様を出来得る限り現地にて確認する必要があります。本来駐車場や駐輪場であった場所が、店舗になっているなど当初の設置基準を満たしていないケースが多いことにも留意が必要です。また、看板、自動販売機、アンテナなど施設設置には設置料が発生しているケースも多く、収益還元法に当たっては重要な価格形成要因になります。写真に自販機や看板が移っているにも関わらず、収益還元法の収入に計上がない場合には、口頭試問で論点になるケースもあるので注意が必要です。
※実務修習においては、建物管理者が事前情報で分からないケースが多いです。テナント向けに管理会社の電話番号がエントランスに掲載されているケースが多いので現地にて管理者を確認しましょう。空室募集の連絡先と日常トラブルに関する連絡先が異なる場合、前者がプロパティ・マネージャー、後者が管理会社と判断してよいでしょう。
※戸建住宅の場合、登記名義人と表札の苗字が異なるケースがありますが、それだけで第三者への賃貸と限らないため、所有者への確認が必要です。実務修習においては、レントロールが入手できるケースが多くないため、商業ビルの場合にはプレート看板にて入居テナントを把握することが重要です。
※ネガティブな価格形成要因は、所有者から積極的に出てくることが少ないので、現地ヒアリングにて確認することが極めて重要です。